観音堂(楢下宿)概要: 特に案内板などなく詳細はわかりませんが、上山市が作成したマップには福聚寺跡と記されています。正面には狛犬が鎮座していて神仏混合していたように見受けられます。境内には多くの石碑などがあり楢下宿の信仰の中心だったように思います。観音堂は入母屋、桟瓦葺、平入、桁行3間、梁間3間、正面1間向拝付、外壁は真壁造、素木板張、上部は白漆喰仕上、向拝木鼻には獅子、欄間部には龍の彫刻が施されています。境内には台座に「子 甲」と刻まれた石造大黒像が建立されていますが、甲子講(きのえこう)といって、鼠が大国主神を救ったという神話に肖り、干支でいう甲子の夜、集まって大黒天を祀る民間信仰があり、その信仰者によって奉納されたと思われます。因みに神話では須佐之男命の娘と結婚する為に大国主神(大黒様)に3つの試練が与えられ、その内の1つが大草原の中に鳴鏑の矢を放ち拾ってくる事で、大国主神が拾いに行くとすぐさま火を放たれ行き場を失うと一匹の鼠が土中にある自らの巣に大国主神を招きいれ火が消えるのをやり過ごし、その間に矢を探し当て大国主神に差し上げたと伝えられています。その他にも阿弥陀様と思われる胴体部が線刻、顔だけが陽刻の珍しい(自分にとっては)石碑も建立されています。
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