旧遠藤家住宅(田麦俣多層民家)概要: 旧遠藤家住宅は山形県鶴岡市田麦俣七ツ滝に屋敷を構えている古民家です。旧遠藤家住宅は江戸時代後期の文化から文政年間(1804〜1830年)に建てられた多層民家で、日本海沿岸部で見られる中門造りとは異なり、寄棟の大屋根内部を2層、3層と仕切り、養蚕を飼育できる空間とし、採光や通風が必要となる為、寄棟の妻面側を垂直に切り落とし開口部(高ハッポウ)を設ける事でそれらを賄い、「かぶと造」という独特の形式が生まれました。
特に、明治以降になると、田麦俣は出羽三山詣での街道(六十里街道)的立場が薄れ、養蚕を生業とする農家が増えた為、旧来の農家建築に手を加えたと思われます(往時は田麦俣集落は湯殿山信仰の拠点として宿場町的な機能があったとされ庄内藩の大綱番所未番所も設置されました)。
旧遠藤家住宅は、木造3階建、寄棟、茅葺、平入、1階面積180u、2階153u、3階114u、1階向って右側が土間で「作業場」や「まや」、「べんじょ」、「かんじょ」、「ながし」、「物置」などがあり、向って左側は「かみざしき(床の間付)」、「しもざしき」、「おめえ」、「おへや」、「でどこ」、「こべや」などがあります。2階は従事者の居住間と作業場、物置、3階は養蚕と作業場、天井裏は物置として利用されていました。
旧遠藤家住宅は江戸時代後期に建てられた多層民家の遺構として大変貴重な事から昭和49年(1974)に山形県指定有形文化財に指定されています。
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板(日本遺産 出羽三山)
|
|