旧有路家住宅(封人の家)概要: 旧有路家住宅(封人の家)は江戸時代初期に建てられた、肝煎りの大型農家住宅です。建物は桁行26.5m、梁行11.5mで寄棟、茅葺で正面玄関部分のみ千鳥破風状の屋根になっていて格式の高さを出しています。
内部は向って右側1/3が土間で厩が3箇所と水屋、竈など作業空間で日常で利用する玄関が設けられていました。中央1/3が日常生活と宿屋として利用されていた空間で、板間の「ござしき」、「なんど」、畳敷き15帖の「ながざしき」がありました。向って左側1/3が接客空間で畳敷12.5帖の「いりのざしき」と8帖の「床の間(床の間付の座敷)」があり専用の玄関がありました。
有路家は肝煎りを代々勤めている家柄で、国境の守役の役目もする「封人」でもあり、単なる住宅ではなく、役屋や問屋、旅宿などの機能を併せ持つ格式の高いもので、玄関や床の間付の座敷などにそれらが窺えます。
又、元禄2年(1689)5月15日から3日松尾芭蕉が奥の細道行脚の途中に宿泊した場所としても有名で、蚤痒さと馬の尿の音と匂いで中々寝付けない様子を「蚤虱 馬の尿する 枕元」と詠っています。
旧有路家住宅江戸時代初期に建てられた大型上層農家建築の遺構とし大変貴重な存在で昭和44年(1969)に国指定重要文化財に指定されています。
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