旧西田川郡役所(鶴岡市)概要: 旧西田川郡役所は明治11年(1878)に郡制度が施行され、現在の鶴岡市が西田川郡となり急遽郡役所が必要となった為、同年から計画が始まり明治14年(1881)に完成しました。施工は当時、山形県の名棟梁と呼ばれた高橋兼吉があたっています。
同年代に建てられた旧鶴岡警察署庁舎と同様に1階屋根が入母屋、2階屋根は寄棟、瓦葺、外壁が下見板張りになっています。窓は縦長の上げ下げ窓を採用し、上部に屋根を模った小庇が付いていて、窓をデザインの一部として捉えるなど、ほとんど同じ様な洋風建築の要素を取り入れています。
ただ、若干早く施行した事が原因なのか、旧西田川郡役所の方が2階部分が小さく、さらに2階屋根上部に時計塔を設えるなど、明治初期によく見られる擬洋風建築独特の容姿をしています。比べると僅かな年代の差ですが旧鶴岡警察署庁舎の方がより洗練され洋風建築に近づいているのが分かります。
現在は、昭和47年(1972)に致道博物館へ移築され資料館となり、建築物の稀少性や明治天皇の東北御巡幸の御宿舎に利用されたなどの歴史性から国指定重要文化財に指定されています。
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