岡千手観音堂(正法寺)概要: 岡千手観音堂は養老5年(721)に創建したと伝えられています。伝承によると行基菩薩が巡錫で当地を訪れた際、旱魃で住民が苦しんでいた事を見かね、自ら観音像を彫刻し念仏を唱えると不思議と雨が降り出し住民が救われたと伝えられています。
当初は高取山の山頂付近に境内を構えていましたが、信仰が広まると参拝者の便宜を図り山麓に移り、その後、現在地に移ってきています。
岡千手観音堂の本尊である千手観音立像は行基菩薩(奈良時代の高僧)が彫り込んだとされる秘仏で、伝承によると大和の岡寺(奈良県高市郡明日香村岡)の観音像と同じ霊木から彫刻したものと伝えられています。学術的には鎌倉時代前後に彫刻されたもので、素木、一木造り特に雨乞いに御利益があるとされ昭和43年(1968)に中山町指定文化財に指定されています。
岡千手観音堂の境内には鳥居と仁王門(入母屋、鉄板葺、三間一戸、八脚単層門、仁王像安置)、観音堂(宝形造り、銅板葺、桁行3間、梁間3間、正面1間向拝付)が混在する神仏混合の名残が見られ、正面向かい側には鐘楼が残されています。別当だった正法寺は嘉応年間(1169〜1171年)に少し離れた長崎村に移ったようですが現在も管理しています。
千手観音立像と供に祀られている木造地蔵菩薩立像は室町時代初期に製作されたもので貴重な事から昭和43年(1968)に中山町指定文化財に指定されています。
最上三十三観音霊場第十四番札所(札所本尊:千手観世音菩薩、伝:行基菩薩作・御詠歌:けさみれば つゆおかむらの にはのこけ さながらるりの ひかりなるらん)。宗派:真言宗。別当寺院:金剛山正法寺。
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