大黒屋(旧栗野家)概要: 大黒屋は古くから楢下宿の旅籠を勤める家柄です。元々は同じ下町の向かい側にあって滝沢家(旧楢下宿脇本陣:現在は宿場の外れに移築保存されています。)の隣にありましたが近年、現在地に移築保存される事になりました。建物は文化5年(1808)に建築され、寄棟、平入、茅葺、梁間10.1m、桁行17.5m、外壁は真壁造、土壁仕上、腰壁は縦板張り、内部は街道沿い正面に「なかま(畳10帖、開口部は蔀戸)」、「じょうだん(畳10帖・床の間、押入れ付・開口部は障子引き違い)」、建物中央に「かつて(板間18帖、茣蓙敷)」、建物奥に板間の「だいどころ」と土間の「にわ」と「うまや」が配され、正面玄関から裏庭に抜ける通り庭があります。平面構成は同じ楢下宿内にある武田家(同じく旅籠建築、上山市指定有形文化財)と略同じですが、武田家に比べて新しい又は後年の改造の為か、宿泊室(なかま・じょうだん)は畳敷き、居間(かつて)は板間となっています。建物の背後にはかなり広い土間と「うまや」がある事から旅籠といっても、農業なども生業の1つだったと思われます。大黒屋(旧栗野家)は江戸時代後期の旅籠建築の遺構として貴重な事から平成7年(1995)に上山市指定有形文化財に指定されています。
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