滝沢屋(旧丹野家住宅)概要: 丹野家(屋号:滝沢屋)は代々庄屋を勤める家柄で往時は造り酒屋なども生業として繁栄しました。滝沢屋がある楢下集落は江戸時代は旧羽州街道の宿場町(楢下宿)で、上山城下から最初に大名などが宿泊する本陣や脇本陣が置かれ、峠の前という場所柄もあり、多くの武士や物資の搬入、出羽三山詣でなど多くの人達がこの宿場に集まりました。
滝沢屋はその中で脇本陣を勤め、藩主などの大名やその家族、家臣など身分が高い人達が宿泊や休息に利用していました。
現在の建物は宝暦年間(1751)頃洪水があり直後に立て直されたもので木造平屋建、寄棟、銅板葺(元茅葺)、「平入り曲家」といって、日本海沿岸部でよく見られる中門造りの農家住宅とは異なり、曲がりの部分が街道の逆側を向いています。理由はよく分かりませんが、街道側は軒を連ねる必要から旅籠風に平入りを正面に向けた方が都合が良かったようにも思います。
内部の間取りは向って右側1/3が土間で一番端には「うまや」があり、主屋中央部が日常生活を行う囲炉裏付の「かって」、「なんど」、「なかま」があり、左端が接客空間で床の間付の「じょうだん」と「なかま」があり街道側の正面には縁側が設けられていました。
当初は下町にありましたが平成5年(1993)に当時の宿場町の様子や建築工法を伝える貴重な文化遺産として移築保存され、内部が資料館として活用されています。
滝沢屋(旧丹野家住宅)は江戸時代中期に建てられた脇本陣建築の遺構として貴重な事から平成7年(1995)に山形県指定有形文化財に指定されています。
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板
・ 現地案内板-上山市・上山市教育委員会
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