旧阿部家住宅(酒田市)概要: 阿部家は古くから坂本新田村の肝煎りなど村役人を歴任した家柄です。現在の建物は元禄3年(1690)に建てられたと推定されるもので、片中門造り、寄棟、茅葺、平入、外壁は真壁造り、板張り素木、内部の柱は雑木を利用しチョウナ仕上げや柱の間隔が1間と短いなど古式の工法が見られる一方で規模の大きい仏間など格式の高さが見られます。阿部家は浄土真宗だった為、特に仏間に力を入れたと思われ、現在の仏間は5代目当主が寛政8年(1796)に増築したもので欄間や梁などに精緻な彫刻が施され建具や、仏壇も豪華な造りとなっています。突出部の中門部分から奥にかけては土間で、入口(玄関)付近には厩が設けられていました。阿部家住宅は江戸時代初期に建てられた上級農家建築の遺構として貴重な存在で昭和59年(1984)に酒田市(旧平田町)指定文化財(建造物)に指定されています。現在は酒田市が管理しており、一般公開されています。
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