肘折温泉(歴史)概要: 肘折温泉は出羽三山と葉山という霊山に囲まれたカルデラ地形にある温泉で、月山への登山口があった事から、湯治客だけでなく修験僧、参拝客などで大いに賑いました。
肘折温泉の開湯の由来は2説あるようで、基本的内容は豊後の国から出羽三山の拝登に訪れ道に迷った源翁が洞窟(地蔵倉)に住む地蔵様に出会い、「肘を折っても、たちまち治る温泉がある」と教えられたという由来で、1説では大同2年(807)で地蔵様は老僧の姿で、もう1説は600年前(明徳2年?)で地蔵様は小僧の姿で現れたそうです。
ちなみに肘折温泉にある薬師神社の創建も明徳2年です。肘折温泉の名称の由来も幾つかあって上記の伝説での「肘が治る温泉」の他にも「銅山川が肘を曲げたように屈曲している」、「聖(弘法大師空海)が開いた温泉」、「日出(ひじ)の村の人が開いた温泉」などがあります。
肘折温泉は現在でも細い道路に密着して温泉旅館や温泉宿が建てられ所謂温泉街の雰囲気があり、旧肘折郵便局などの古い建物や湯治客目当てに立てられる朝市など見所も多いと思います。肘折温泉の共同浴場は上の湯(疵湯)、河原湯、疝気湯の3箇所。平成元年に国民保養温泉地に指定。
泉質: ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
効能(浴用): 切傷・やけど・慢性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病
効能(飲用): 慢性消化器病・慢性便秘・糖尿病・痛風・肝臓病
国民保養温泉の選定基準
国民保養温泉地は温泉法第14条に基づいて環境省が指定をした温泉地の事で以下のような基準があります。
・ 効能の高さ−泉効が顕著であること
・ 湧出量−豊富であること
・ 湧出温度−利用上適当な温度を有すること
・ 健全性−環境衛生的条件が良好であること
・ 周辺の景観・保養地としての環境−景観が優れていること
・ 医療設備、スタッフの充実−顧問医が設置されていること
・ 災害に対する安全性−安全であること
・ 交通の便−比較的便利又は便利になる可能性のあること
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