観音寺(上ノ山湯上観音)概要: 水岸山観音寺は山形県上山市十日町に境内を構えている真言宗の寺院です。観音寺の創建は天仁2年(1109)に道寂和尚が開山したのが始まりとされます。本尊は元々は小野小町の祖父とされる小野篁の護り本尊で、行基が自ら彫り込んだとされる聖観世音菩薩像です。
境内付近は当時、湖(沼?)だったとされ地名の「鏡ヶ淵」、山号の「水岸山」はそれに由来し、小野篁が過って本尊を湖に落とした後、漁師によって引き上げられそののまま現地に祀られたと伝えられています。
周辺住民だけでなく歴代領主からも崇敬され文政8年(1825)に火事によって焼失(本尊は住職が持ち出して無事)した際も上山藩(藩庁・上山城)の藩主松平家をはじめ多くの協力を得て弘化4年(1847)に再建し、例祭には藩主の代参が参拝に訪れ祭祀料を寄進しました。
室町時代には最上三十三観音霊場第十番札所に指定され周囲には上山温泉の共同浴場である「下の大湯」などがありおおいに賑ったされ、温泉(下の大湯)の上に境内を構えている事から「上ノ山湯上観音」や「湯ノ上観音」、「湯ノ神観音」の別称があります。
境内には大日堂(懸魚・向拝の龍の彫刻が上山市指定文化財)や上山七不思議の1つ「洗心の湯」、上山温泉で働いていた飯盛り女(遊女)供養塔などがあります。
観音堂(本堂)は入母屋、銅板葺、平入、正面千鳥破風、桁行3間、正面1間軒唐破風向拝付、向拝木鼻には獅子、欄間には龍、妻壁には天女、懸魚には鳳凰、蝦虹梁には力士像などの精緻な彫刻が施されています。
最上三十三観音霊場第10番札所(札所本尊:聖観世音菩薩、伝:行基菩薩作・御詠歌:のをもすぎ さとをもゆきて かみのやま てらへまゐるも のちのよのため)。最上四十八地蔵菩薩霊場第14番札所(札所本尊:延命地蔵尊)。上山三十三所観音第1番札所。上山十体観音第1番札所。山号:水岸山。宗派:真言宗。本尊:聖観世音菩薩。
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板-上山市教育委員会
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