山寺立石寺

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奥の細道・山形県編

元禄2年(1689)5月27日(新暦7月13日)、松尾芭蕉と河合曾良は尾花沢宿山形県尾花沢市)を後にしてよく晴れた空の下、一路、羽州街道を南下し山寺立石寺に向かいます。当初、山寺立石寺に行く予定はありませんでしたが、尾花沢で出会った清風など多くの人々から勧められ思い立ちました。午前9時頃に出発して清風が用意した馬に乗り楯岡宿(山形県村山市)に、そこから馬を乗り継いで六田宿で知人(内蔵=六田宿の問屋の主人と思われる人物)に会いながら30キロ程の行程を移動、山寺立石寺山形県山形市)の門前に着いたのは夕方3時頃になっていました。山寺立石寺は断崖の岩肌に多くの堂宇が張り付くように建立されている独特の境内を持っていて、既に参拝者や僧侶の姿もなく御堂の扉も閉まっていましが、とにかく、崖をよじ登り、御堂の前で手を合わせて参拝していると人気の無い静寂な境内に蝉の声だけが、やまびこのように反響しあい、今まで感じていた時間や空間の意識が無くなっていくように感じました。ここで一句・・・・・

・ 閑さや 岩にしみ入 蝉の声

奥の細道の中でも最も有名な句の1つです。句の意味は、蝉の声が五月蝿い位に聞こえる。でも、この静けさを感じる何ともいえない感情はどこから来るのだろう?そうだ、蝉の声が岩肌の中に吸い込まれているからに違いない。といった意味と思われます。上記のように人気の無い境内に鳴り響く蝉の声が芭蕉の心に深く感動を与えた一場面となっています。芭蕉は時間が余れば山形まで足を伸ばそうと思っていましたが、予想以上に時間が押して暗くなってきたので結局、参拝前に荷物を預けた宿坊(徳善坊)で宿泊する事になっています。

山寺立石寺:仁王門 山寺立石寺:山門 山寺立石寺:支院 山寺立石寺:眺望
山寺立石寺:岩場 山寺立石寺:奥之院 山寺立石寺:開山堂 山寺立石寺:五大堂

私には余り関心はありませんが「閑さや 岩にしみ入 蝉の声」の蝉について篤く議論が交わされているようで、山形県出身の歌人、斎藤茂吉は「アブラゼミ」説を唱えると、小宮豊隆は芭蕉が山寺立石寺を訪れたのは陽暦にすると7月中旬で、アブラゼミの鳴く季節で無い事から、その時期に鳴くニイニイゼミ説を唱えました。納得出来なかった斎藤茂吉は実際、調査に入りニイニイゼミの方が可能性が高いと誤りを認めています。

山寺立石寺・概要: 案内板によると「 宝珠山立石寺を中心とする山寺は、清和天皇の勅許をいただいた慈覚大師により、貞観2年(860)に開かれたと伝えられています。全山を構成する角礫凝灰岩は、永年の水蝕と風蝕を受けて奇岩怪石となり、これが樹木の間に見え隠れする姿は、四季折々に本当にすばらしい景観となっています。また、境内地の参道石段は、立ち並ぶ句碑や板碑とともに苔むして、老杉や怪石の間にはたくさんの堂塔が建てられ、千古の静寂をたたえています。元禄2年(1689)には俳聖松尾芭蕉が門人の河合曽良とともにこの地を訪ね 閑さや 岩にしみ入 蝉の声 の名句を「おくのほそ道」に残しています。 山形県教育委員会 山形市教育委員会 」とあります。山寺立石寺は歴代領主からも庇護され、特に戦国大名として出羽国を席巻した最上義光が篤く信仰し、寺領1千3百石が与えられ境内には義光の御霊屋が建立、往時には山内に十二の塔中支院が軒を連ね寺運も隆盛しました。現在の支院は性相院、金乗院、中性院、華蔵院の4院だけですが、山内には本坊をはじめ根本中堂奥之院開山堂納経堂(山形県指定重要文化財)、五大堂行在所山門仁王門鐘楼常行念仏堂日枝神社などが建立され往時を偲ぶ事が出来ます。寺宝も多く天養元年如法経所碑と立石寺根本中堂、立石寺三重小塔、木造薬師如来坐像、木造慈覚大師頭部・木棺が国指定重要文化財に指定されています。又、山寺の境内一帯は昭和7年(1932)に国指定名勝史跡に指定されています。

山寺立石寺:根本中堂 山寺立石寺:納経堂 山寺立石寺:「せみ塚」 山寺立石寺:芭蕉句碑

「せみ塚」・概要: 「せみ塚」は宝暦元年(1751)、俳人壷中(出羽村山出身)や吟里(出羽天童出身)を中心に俳諧仲間が建立したもので、土中には芭蕉が句をしたためた短冊が埋められています。石碑の正面には「芭蕉翁」、側面には山寺立石寺で詠まれた「静さや 岩にしミ入 蝉の声」の句が刻まれています。当初は山門近くに建立されていましたが、その後現在地に移されています。一般的にこの句は「閑さや・・・」として知られていますが「せみ塚」では「静さや・・・」となっています。又、麓の根本中堂の傍らにも嘉永6年(1853)に芭蕉の門人達が建てた「閑かさや 巌にしみ入 蝉の聲」の句碑が建立されています。


奥の細道の足跡一覧

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